エス・デヴリン/ Es Devlin
Library of Light「光のライブラリー」
サローネがブレラ美術館、ラ・グランデ・ブレラと協業し、フェルトリネッリの協力を得て企画した「Library of Light(光のライブラリー)」は、知識のメタファー。
科学、哲学、スピリチュアリティを通して、光を再び物語の中心に据える旅。街への特別な贈り物。

Pinacoteca di Brera – Cortile d’Onore
Salone del Mobile.Milano 2025
©Es Devlin Studio
エウロルーチェの年、ミラノサローネはスフォルツェスコ城に続くもうひとつのミラノの象徴的な場所、ブレラ美術館のコルティーレ・ドノーレ(名誉の中庭)を包含します。デザイン、アート、テクノロジーの完璧な融合であるこの作品は、知識とつながりの場としての図書館の概念を再定義するもので、知識のメタファーである光は、本に蓄えられた価値を呼び起こし、遺産と革新の間に象徴的なつながりを生み出します。このインスタレーションは、ブライデンセ国立図書館の高い書棚を登る際にアーティストが心に浮かんだウンベルト・エーコの言葉、「本は心の羅針盤であり、まだ探求されていない無数の世界を指し示している」を反映したものです。
Library of Light(光のライブラリー)は、ブレラ美術館、国立ブライデンセ図書館、ブレラ美術学院を結ぶ17世紀のコルティーレ・ドノーレ(名誉の中庭)の中心に位置します。2000冊以上の蔵書が収められた光り輝くし書棚によって形成された円形(直径18メートル)の「知の道標」ともいうべき驚異的な彫刻。回転する床とライトアップされた棚を特徴とする大きな構造物は、中庭の中心から少し軸をずらした位置に配置され、日時計のようなレイアウトを作り出しています。日中、構造体がコンパスのように回転すると、本棚を囲む傾斜鏡によって反射された太陽光が、円柱やアーケードの彫像、これまで太陽の光が届かなかった建物の各所を照らし、夜には、その光り輝く構造が中庭の壁に暗示的な影絵を描きます。デブリンのデザインによる巨大な本棚は、中庭の幾何学的な厳密さに、もはや直線的ではなく円形的な新しい調和を重ね合わせ、空間の知覚を破壊し、更新する動きを見せています。光、音、文学、集団的な考察を組み合わせた会議、朗読会、パフォーマンスが内部で祝われる中、訪問者はその動きを追いかけ、水平線に沿って解きほぐされていく言葉の軌跡をたどりながら、その周りをゆっくりと歩くように誘導されます。
エス・デブリンのコメント
「過去の偉大な学者たちの彫像の間を歩いていて、私はただ一人の女性像を見つけた:Maria Gaetana Agnesi(マリア・ガエターナ・アニェージ)である。非凡な頭脳を持ち、数学のパイオニアであり、知識というものに忘れがたい軌跡を残した人物ですが、その時まで私は彼女の存在を知りませんでした。アニェージは光の伝搬と電磁波の流れを研究し、数学的な曲線を描いたが、歴史はそれを誤って「魔女アニェージ」と呼んだ。しかし、彼女は魔女ではなく、先見の明があったのです。『Library of Light(光のライブラリー)』は、科学、哲学、スピリチュアリティの間を行き来しながら、自らの時代を照らすことができたこの女性へのオマージュ。このインスタレーションは、彼女の光を物語の中心に戻したのです」

Pinacoteca di Brera – Cortile d’Onore
Salone del Mobile.Milano 2025
©Es Devlin Studio
マリア・ガエターナ・アニェージの言葉がデブリンの声を通して響き渡り、英国人俳優Benedict Cumberbatch(ベネディクト・カンバーバッチ)の声と絡み合い、理論物理学者Carlo Rovelli(カルロ・ロヴェッリ)が時間の概念について考察した内容を一般に公開します。そして、これらの声の周りには、2025年ミラノサローネの赤い糸として選ばれた「Thought for Humans(人間のための思考)」をテーマに、フェルトリネッリが選び寄贈した2,000冊以上の本の天空が広がります。来場者は、水平にスクロールするLEDディスプレイに沿ってテキストをたどりながら、ライブラリー自体の「朗読」を聞き、同時に、光のビームがページを優しく照らす。本を閲覧するだけでなく、自分の本を寄贈することもできる。一般公開されている間、この公共アーカイブの拡大に貢献し、本はミラノ図書館システムの一部となり、他の読者の手と心を介して旅を続ける。ブレラ美術館とラ・グランデ・ブレラの協力のもと、フェルトリネッリの寄付により、ミラノサローネが望んだ街への贈り物。
フェルトリネッリ・グループAlessandra Carra (アレッサンドラ・カッラ) 代表取締役のコメント
「Library of Light(光のライブラリー)は、人から人、個人と集団の発展と成長の原動力として、その活力のすべてにおいて理解される知識の祭典です。本は私たちの生活の中心にあり、私たちを変化させ、前進させ、築き上げ、そして互いにつながることを可能にしてくれます。今回のインスタレーションでは、当グループの詩集、ノンフィクション、フィクションの出版社から、現在を理解し、未来を築くために必要な本を選びました。歩きやすく、利用し易いエス・デヴリンのインスタレーションは、思考、物語、アイデアを循環させてくれるでしょう。まさにフェルトリネッリ70周年記念の年に、私たちが常に考えてきた文化創造のビジョンの真髄を表現しているのです」
2週間の開催期間、「光のライブラリー」は、アート、文学、クラフトマンシップ、そして現代への考察を織り交ぜた一連の出会いの場となり、思考と対話の舞台へと変貌を遂げます。アーティスト、作家、キュレーター、イノベーターの声を通して、図書館は、アイデアが形になり、混ざり合い、増殖する場となり、来場者に常に変化する文化体験に浸る機会を提供します。
フェルトリネッリの夕べ
最初のアポイントメントは、文化伝承の手段としてのテキスタイル、縦糸と横糸を通して記憶、伝統、アイデンティティを保存する先祖伝来の慣習に捧げられます。この文脈では、最近サローネを招待してくれたインドからの声も紹介されます。4月9日(水)午後7時からのフェルトリネッリ主催の夕べでは、文学が主役となり、イタリアで最も優れた作家であり知識人の一人であるWalter Siti(ヴァルテル・シティ)の 『C’era una volta il corpo』 がレクチャーされます。『I Meridiani』(Mondadori出版)でPier Paolo Pasolini(ピエル・パオロ・パゾリーニ)作品のキュレーターを務め、ポッドキャスト 「Perché Pasolini?」のキュレーターでもあるシティは、『Troppi paradisi』 (2006年)や 『Il contagio』 (2008年)など、世代を超えて愛される小説を書いています。2013年には 『Resistere non serve a niente』 でストレガ賞を受賞。最新作は 『C’era una volta il corpo』 (フェルトリネッリ出版)。もうひとつの重要な企画は、人類に対するアートとデザインの責任について考える「Thought for Humans.(人間のための思考)」というコンセプトに捧げられます。Annalisa Rosso(アンナリーザ・ロッソ) の司会で、アーティストのMatilde Cassani(マティルデ・カッサーニ)、セットデザイナーのMargherita Palli(マルゲリータ・パッリ)、建築家のLuca Cipelletti(ルカ・チペレッティ)による公開討論が行われ、思考を生み出し、可能な未来を想像し、空間や物質との関係を再定義する創造性の能力を探求します。
Es Devlin. Library of Light
エス・デヴリン 「光のライブラリー」
4月7日- 21日
Pinacoteca di Brera – Cortile d’Onore
ブレラ美術館 コルティーナ・ドノーレ(名誉の中庭)
ミラノサローネとブレラ美術館、ラ・グランデ・ブレラとのコラボレーション企画
フェルトリネッリの貢献により実現
入場無料
時間:9:00 – 21:00
TALK:Library of Light
キュレーション:Annalisa Rosso (アンナリーザ・ロッソ)
場所:Pinacoteca di Brera – Cortile d’Onore (ブレラ美術館 – 名誉の中庭)
4月8日(火)
時間:19:00 (英語)
タイトル:インドの芸術を織る
スピーカー:
Vinita Chaitanya(ヴィニータ・チャイタニア)インテリアデザイナー、Prism創設者
Urmila Chakraborty(ウルミラ・チャクラボルティ)作家、パタチトラ民芸品専門家
Malika Verma(マリカ・ヴェルマ)、Border&Fall創設者
モデレーター:Cristina Kiran Piotti(クリスティーナ・キラン・ピオッティ) イタリア系インド人ジャーナリスト、コンサルタント
概要
モチーフ、タペストリー、織物、刺繍。長い間、南半球の洗練された卓越した職人技 “だけ” と見なされてきたものが、今や独自の芸術形態として認識されるようになってきている。特にインドでは、テキスタイルは文化表現、歴史的記憶、ジェンダー解放、地域のアイデンティティと深く結びついている。今日のデザイン界は、文字どおり新しい感性を織り込み、古代的でありながら現代的でもあるこれらの慣習を見直す上で、重要な役割を果たしている。
4月9日(水)
時間:19:00 (イタリア語)
タイトル:C’era una volta il corpo (Once Upon a Time There Was the Body)
Walter Siti(ヴァルテル・シティ)、作家、文芸評論家、エッセイスト
4月17日(木)
時間:18:00 (イタリア語)
タイトル:Thought for Humans. (人間のための思考)
スピーカー:
Matilde Cassani(マティルデ・カッサーニ)、アーティスト、デザイナー
Luca Cipelletti(ルカ・チペレッティ)、建築家、博物館設計家
Margherita Palli(マルゲリータ・パッリ)、 セットデザイナー
モデレーター: Annalisa Rosso(アンナリーザ・ロッソ)、ミラノサローネ エディトリアルディレクター兼文化イベントアドバイザー
概要
ミラノサローネの2025年コミュニケーションキャンペーンのテーマ「Thought for Humans(人間のための思考)」は、空間における身体の役割について、広範かつ学際的に考察する機会となる。直接的な身体体験がもたらす感情的、感覚的な側面の探求は、デザインの世界にも新たな解釈の鍵を開くことができる。アート、演劇、ミュゼオグラフィなど、異なるが深く結びついた実践を通して、人間の中心性についての新しい考え方、生き方、問い方が探求される。

エス・デブリン / ES DEVLIN
アーティストであり空間演出家でもあるエス・デブリンの作品は、生物多様性、言語の多様性、人工知能が生み出す集合詩を探求している。公共を一時的な社会と捉え、共同体的な合唱作品への一般参加を呼びかけることで、深い認知の変化を促している。その作品は、テート・モダン、V&A、サーペンタイン、帝国戦争博物館、国連総会での公共彫刻やインスタレーションから、ロイヤル・オペラ・ハウス、ナショナル・シアター、メトロポリタン・オペラでのキネティック・ステージ・デザイン、オリンピック・セレモニー、スーパーボウルのハーフタイム・ショー、ビヨンセ、ザ・ウィークエンド、ドクター・ドレー、ケンドリック・ラマー、U2のモニュメンタルなイルミネーション・ステージ彫刻まで多岐にわたる。テムズ&ハドソン社からは、これまでで最も複雑で彫刻的な出版物であると評され、ニューヨークのクーパー・ヒューイット・スミソニアン・デザイン美術館では回顧展が開催されている。2020年万博の英国パビリオンでは初の女性デザイナーとなり、Netflixのドキュメンタリー番組『Abstract: The Art Of Design』シリーズでは彼女の実践が取り上げられた。ロンドン・デザイン・メダル、3つのオリヴィエ賞、トニー賞、アイヴォア・ノヴェロ賞、ブリストル大学、ケント大学、ロンドン芸術大学から博士号を授与されたほか、英国王立芸術協会からロイヤル・デザイナー・フォー・インダストリー、CBEの称号を授与されている。

