Salone del Mobile.Milano 2027


産業、デザイン、そして新たな市場へ
第65回を迎えるミラノサローネ

2026年10月6日(火) ミラノで開催された記者発表会より photo by Alessio Keilty

2027年4月13日から18日まで、ロー・フィエラミラノ(Fiera Milano, Rho)で開催されるミラノサローネ国際家具見本市(以下、ミラノサローネ)。中核をなす展示プログラムを軸に、照明の未来を探る「エウロルーチェ」では、「エウロルーチェ国際国際照明フォーラム」が2度目の開催を迎えます。さらに、OMA / レム・コールハース(Rem Koolhaas)+デイヴィッド・ジャーノッテン(David Gianotten)によるマスタープランを掲げた「サローネ・コントラクト」が新たに始動するほか、プロジェクト市場に焦点を当てた新フォーラムやPwCとの協業も展開されます。「サローネ・ラリタス」は規模と地域性を拡張し、第一弾の参加者としてインディア・マダヴィ(India Mahdavi)が名を連ねます。また、「World Tour」は、これからのデザイン・プロジェクト市場を担う重要なマーケットとプロフェッショナル・コミュニティへミラノサローネの活動を広げていきます。

ミラノサローネは2027年に向け、家具・デザイン産業全体の発展を支えるプラットフォームとしての役割をさらに強化します。その出発点となるのは、産業そのものを中心に据えながら、企業と新たな市場、クライアント、専門知識、そしてプロフェッショナル・コミュニティをつなぐための機能を拡張することです。これが次回開催を貫く戦略です。既存の展示プログラムをさらに強固なものとすると同時に、その周囲に新たなビジネスとプロジェクトの機会を創出します。その具体的な展開が、「サローネ・コントラクト」の新設、「サローネ・ラリタス」の第2回開催、そしてより多層的となる国際プログラムです。この方向性は、需要がより選別的になり、輸出環境への圧力が高まる現在の市場状況に応えるものでもあります。企業にとって、質の高い関係性を築き、国際的な成長機会を確保することが、これまで以上に重要になっています。ミラノサローネの中核をなすのは、もちろん「サローネ国際家具見本市(Salone Internazionale del Mobile)」「サローネ国際インテリア小物見本市(Salone Internazionale del Complemento d’Arredo)」「ワークプレイス3.0(Workplace3.0)」「S.プロジェクト(S.Project)」からなる展示システムです。その基盤の上に、業界の重要な変化を捉える各プロジェクトが展開されます。光とそのデザイン文化を扱う隔年開催の「エウロルーチェ(Euroluce) 」、大規模プロジェクト市場に焦点を当てる「サローネ・コントラクト(Salone Contract) 」、唯一無二の価値と作り手の技術に光を当てる「サローネ・ラリタス(Salone Raritas)」、そして次世代の才能を紹介する「サローネサテリテ(SaloneSatellite)」です。そして「ワールドツアー」は、こうした活動を年間を通して世界へと延長します。需要や関係性、新たなビジネスの可能性が生まれる場所へミラノサローネ自身が赴くことで、企業と世界の市場をつなぐ役割を担います。
Press Event_6.10_photo by Alessio Keilt
ブレない核、広がる可能性「ミラノサローネの核にあるのは、企業と、それを構成する各展示プログラムです。ここで産業は自らを発信し、市場と対話し、グローバル市場との関係を築いています。大手ブランド、ファミリービジネス、規模の異なる企業、そして高度な専門性を持つ企業まで、多様なプレイヤーが、他では得難い可視性や出会い、成長の機会をミラノサローネで得ています。この強固で多様な基盤を起点として、2027年を構築していきます。新たなプロジェクトや国際的な展開によって中心を移すのではなく、その中心が生み出す機会をさらに拡張し、企業を新たなクライアント、そして世界でデザインし、意思決定し、投資し、購入する人々とつなげていくのです。ミラノでの開催期間だけに価値を限定するのではなく、4月の開催前、開催中、そしてその後まで、関係性、知識、成長の機会を生み出していく。それが私たちの戦略です」ミラノサローネのマリア・ポッロ代表はこのように語ります。
 Press Event_6.10_photo by Alessio Keilty
イタリア家具工業連盟 クラウディオ・フェルトリン会長は、次のように述べています。「2027年のミラノサローネは、輸出の減速、インフレ圧力、先行きを見通すことが難しい国際情勢など、業界にとって非常に複雑な状況の中で開催されます。しかし、まさにこのような局面だからこそ、投資を続けることが不可欠です。その意味で、ミラノサローネは国際的に見ても、企業を支援する最良のツールであり続けています。今回の新たな取り組みは、ミラノサローネが持つ刷新と再発明の力を示すものでもあります。世界の見本市には類を見ない、恒常的なイベントとなることを目指す具体的なプロジェクトとして『サローネ・コントラクト』を立ち上げ、企業が今後数年間のビジネスを拡大するための新たな機会を提供します。出展企業の成長機会を生み出すことは、ミラノサローネの運営を常に導いてきた指針です。デザイナー、建築家、ホスピタリティ事業者、企業、そして大規模な民間・公共クライアントと企業をつなぐことです。木材・家具産業はこの挑戦に向けて準備ができています。より大規模なプロジェクトとビジネスに応えるためには、さらなる飛躍が必要であることを理解しています」

サローネの核心:複層的な産業システムが持つ底力

多様な企業が交差する、世界規模の産業ハブ

ミラノサローネの強さは、まず出展企業そのものにあります。世界的な大手ブランドから中小企業、ファミリービジネス、高度な専門性を持つメーカーまで、多様な企業が共存しています。数十年にわたり継続して参加する企業と、新たに参加する企業、そして再び戻ってくる企業が一堂に会します。

2026年には、「サローネ国際家具見本市」「サローネ国際インテリア小物見本市」「ワークプレイス3.0」「S.プロジェクト」に32カ国から915社が出展し、その38.6%を海外企業が占めました。新規参加および再参加のブランドは139に上りました。

企業規模、専門性、生産文化、ビジネスモデル。その多様性をミラノサローネは均質化するのではなく、可視化し、世界規模でつなげています。

一方、この多様な供給に呼応するのが、国際的な需要の広がりです。2026年には167カ国から316,342人が来場し、海外のプロフェッショナル来場者は68%を占めました。

市場の選別性が高まり、先行きの予測が難しくなるなかで、この機能の価値はさらに高まっています。大手グループにとっては、世界市場に向けたポジショニングと新製品発表のためのグローバル・プラットフォームであり、小規模・専門企業にとっては、単独では構築することが難しい国際ネットワークへのアクセスを可能にする場です。そして再参加する企業にとっては、既存の関係性や可視性、ビジネスを再び活性化する機会となります。

企業の多様性は単なる展示内容の特徴ではありません。それこそが、ミラノサローネを産業のハブとし、業界の発展を促す原動力のひとつなのです。


エウロルーチェ 2027

 光の産業と文化を、ひとつのデザインへ 



「エウロルーチェ」が、照明デザインをテーマとする最も重要な隔年開催イベントとして再び開催されます。現代のデザインにおいて、光が担う役割がますます複雑かつ多面的になっている今、その意義は大きくなっています。研究、テクノロジー、制御システム、サステナビリティ、人工知能、ウェルビーイング、自然光との関係、そして空間の質。こうした要素が、企業とデザイナーの活動領域を大きく広げています。ミラノサローネが取り組んできた変革は、2023年に始まりました。「The City of Lights(光の街)」とともに、「エウロルーチェ」は見本市モデルそのものを変革する最初の大規模な実験となりました。従来のブースを中心とする構成を、都市的かつ人間中心のロジックへと再構築し、企業の可視性とビジネス機会を高めると同時に、出会い、知識、文化のための場を生み出したのです。ビジネスとコンテンツは、同じ空間、同じ来場体験の中に組み込まれました。2025年にも継承されたこのモデルは、2027年に新たな段階へと進みます。前回の「エウロルーチェ」には306社が出展し、その45%が海外企業でした。新規参加および再参加企業は75社に上りました。これは、「エウロルーチェ」が持つ性格をよく表しています。世界を代表する照明ブランドと新たな国際企業、長年ミラノサローネに参加してきた企業と再び戻ってきた企業、装飾照明とテクニカルライティング、素材研究とテクノロジー。その多様なプレイヤーが一つの場に集うのです。
 光への思索を、ビジネスの解像度へこうした進化の中で、アンナリーザ・ロッソのディレクションによる「エウロルーチェ国際照明フォーラム (The Euroluce International Lighting Forum)」が第2回を迎えます。今回は「Light for Life. Light for Spaces (生活のための光。空間のための光 )」というコンセプトを発展させ、光の未来を探る学際的なリサーチ・プラットフォームとして展開します。「Light for Life」では、生命、ウェルビーイング、環境、エネルギー、自然との関係を横断する要素として光を捉えます。一方「Light for Spaces」では、建築や空間を構築・変容させる光の力に着目し、知覚、使い方、雰囲気、そして空間の質がどのように変化するのかを探ります。フォーラムの役割は明快です。デザイン、製造、そして光の利用方法を変えつつある問いを「エウロルーチェ」、ひいては産業のすぐそばへと持ち込むことです。ライティングデザイナーや建築家が、科学研究やテクノロジー、ビジュアルアート、映画、その他の分野と対話し、照明を単なる製品の領域からさらに広く捉えていきます。photo Euroluce_SDM2025
Press Event_6.10_photo by Alessio Keilty


イタリア家具工業連盟・照明部門 「アッソルーチェ (Assoluce)」 のカルロ・ウルビナーティ (Carlo Urbinati) 代表は次のようにコメントしています。「エウロルーチェは、装飾照明から建築照明まで、光のあらゆる側面を表現しています。この発展の中で、私たちが強く実現を望んだのが『The Euroluce International Lighting Forum (エウロルーチェ国際照明フォーラム) 』です。デザイナー、建築家、ライティングデザイナーと、研究、文化、イノベーションの世界を対話させることを目的としています。光は単なるコモディティではありません。私たちがどのように空間で暮らし、それを解釈するかに影響を与え、付加価値を生み出すデザイン要素です。『光の文化』に根差したオリジナルで刺激的なコンテンツと、専門性を持つ国際的なプロフェッショナル・コミュニティをつなぐことは、ミラノサローネと企業にとって、新たな対話と関係性を生み出す機会となります。そして企業が、より質の高い相手や国際市場と対話する力を強化することにもつながります」

2027年の照明フォーラムは2025年に藤本壮介が設計したアリーナ「The Forest of Space」が前回の空間を再利用し再び開催されます。登壇者のひとつとして名を連ねるのが、ロンドンと東京を拠点とする国際的なライティングデザインスタジオ、スピアーズ&メジャー・ライト・アーキテクチャー (Speirs Major Light Architecture) です。同スタジオは、International Association of Lighting Designers(IALD)によるラディアンス・アワード (Radiance Awards) を4度受賞した唯一の独立系ライティングデザイン事務所であり、同賞は照明デザイン分野における世界最高峰の評価のひとつです。ウェストミンスター寺院(ロンドン)からアブダビのグランド・モスクまで幅広いプロジェクトを手がけ、RIBA スターリング賞 (RIBA Stirling Prize) 受賞チーム5組とも協働してきました。2026年には、サウジアラビア・ディルイーヤのアッ=トゥライフ (At-Turaif) の照明デザインで IALD 賞 を受賞しています。また「エウロルーチェ国際照明フォーラム」には、ニューヨークを拠点とする世界的なライティングデザイン・グループ、フィッシャー・マランツ・ストーン (Fisher Marantz Stone/FMS)も参加します。1971年の創設以来、サステナブルでクリエイティブ、かつ機能的な照明ソリューションを追求し、ドバイのブルジュ・ハリファ (Burj Khalifa) 、上海の上海バンド(Shanghai Bund)、ニューヨークのリトル・アイランド(Little Island) やトリビュート・イン・ライト (Tribute in Light)、そして近年開館したシカゴのオバマ・プレジデンシャル・センター (Obama Presidential Center) など、世界各地のプロジェクトを手がけています。


サローネ・コントラクト 2027

 産業を「プロジェクト」という巨大な需要へ

SaloneContract_Dome (左上:ドーム:中央イベント会場)
SaloneContract_Podium (右上:ポディウム:出展者スペース)
SaloneContract_Project_Space(左下:建築事務所等の可動式プロジェクト台)
SaloneContract_B2B_Areas(右下:出展企業の商談エリア)
 第65回の最大の新機軸となるのが「サローネ・コントラクト」です。これは、単体の製品から、サービス、専門知識、プロジェクト管理を複雑な案件の中で統合する能力へと価値の軸が移りつつある市場に向けて、ミラノサローネが構築する戦略的なプラットフォームです。コントラクト市場は、産業とクライアントの関係性のスケールを変えます。高品質な製品をつくるだけでは十分ではありません。建築家、インテリアデザイナー、デベロッパー、投資家、事業者、プロフェッショナルクライアントと対話し、カスタマイズ、大量供給、納期・コスト、物流、施工、調整、そしてプロジェクト全体を通じた信頼性まで、多様な要求に応える必要があります。出展企業の選定もこの考え方に基づいています。「サローネ・コントラクト」は、単なる総合型の展示会ではなく、デザインの質、産業としての供給能力、運用面での信頼性を兼ね備え、国際的なプロフェッショナル・クライアントと対話できる企業を対象とした、構造化された展示プログラムとして始動します。OMAが描く、新しいビジネスの風景この新たなプラットフォームを形づくるのが、Rem Koolhaas(レム・コールハース)とDavid Gianotten(デイヴィッド・ジャノッテン)/OMAによるマスタープランです。従来型のブースを並べるのではなく、「Dome(ドーム)」「Podium(ポディウム)」「Project Space(プロジェクトスペース)」「B2Bエリア」という4つの装置を中心に構成された、いわば交換と出会いのための場となります。可視性や回遊性を高めるだけでなく、1対1の商談、プロジェクトのプレゼンテーション、交渉、ビジネスを促進するための環境が設計されます。このプロジェクトを支えるのが、ミラノサローネとPwCの協業です。複雑かつ急速に変化する市場を企業が読み解くために、コンテクスト、知識、データ、分析ツールを提供することを目的としています。その狙いは、業界が市場の動向、アセットクラス、地域、需要モデル、クライアント構造の変化をより深く理解できる知識と専門性の蓄積をつくることにあります。同時に、学習と対話の機会も提供します。不動産市場や投資に関するPwCの知見と、ミラノサローネが持つ生産・デザインシステムへの理解を組み合わせることで、コントラクト市場の今後の方向性と、企業がその機会を捉えるために必要な能力をより明確に示すことを目指します。PwCによる初期分析では、主要なアセットクラスを対象としたコントラクト FF&E(家具・什器・設備)の世界市場規模は、800億〜1,000億ユーロに達する可能性があると推計されています。地域別では、南北アメリカが348億〜426億ユーロと最大で、APACが279億〜342億ユーロ、EMEAが167億〜204億ユーロと続きます。用途別では、Livingが約400億〜490億ユーロと最大の市場を形成し、Officeが約170億〜210億ユーロ、Retailが約150億〜180億ユーロ、Hospitalityが約70億〜90億ユーロと続きます。「製品」から「プロジェクト」へPwCとの協業は、市場規模の算定にとどまらない独自調査へと発展していきます。投資、アセットクラス、地域、プロジェクトパイプライン、需要モデルを分析し、クライアント構造がどのように変化しているのか、そして企業が「製品」から「プロジェクト」へ、「単純な供給」からより高度なB2B関係の構築へ移行するために、どのような能力が必要になるのかを明らかにします。イタリアでは、企業との対話プログラムも実施されます。ミラノ、パドヴァ、ローマを巡り、コントラクト市場というテーマを各地の生産地域へと持ち込み、業界が必要とする能力、課題、機会について直接対話する場をつくります。また、サローネ・コントラクトの国際ツアーも、コントラクト需要が生まれつつある場所へ直接赴き、プロジェクトや投資の動きを現地で読み取り、意思決定者と出会い、戦略的な国際プレイヤーとの対話を生み出すことを目的とします。各都市では、地域市場の特性と特定のアセットクラスを軸にプログラムを構築し、それぞれ異なるプロジェクト・エコシステムやプロフェッショナル・コミュニティとサローネ・コントラクトを接続します。上海では10月21日に、大規模な都市開発とMixed-use開発をテーマに開催します。住宅、ホスピタリティ、リテール、ワークプレイス、サービスが複合する大規模プロジェクトにおいて、デザイン、供給、運営を高度に連携させる能力に焦点を当てます。11月25日のロンドンでは、ワークプレイスをテーマに、働く環境の変化、新たな雇用・利用モデル、そして国際的にも成熟した市場における建築家、デベロッパー、コンサルタント、スペシフィケーションの役割を探ります。12月のマイアミでは、マリン市場に着目します。インテリアデザイン、カスタマイズ、素材、テクノロジー、高度な施工品質が交差する、専門性の高い需要を読み解きます。2027年1月のリヤドでは、ホスピタリティをテーマとします。進行中の大規模なホテル・観光開発計画を背景に、スケール、アイデンティティ、空間の質を統合するプロジェクトへの需要を探ります。
 


サローネ・ラリタス 2027

 「希少性」を、インテリアデザインの力へ

India Mahdavi_左から2枚 © tom dagnas、3枚目 © valérie sadoun
2026年に初開催された「サローネ・ラリタス」は、第2回に向けて規模、内容、国際性のすべてを拡張します。限定生産、唯一無二の作品、アンティーク、そして高度なクリエイティブ・マニュファクチャリングを扱うプラットフォームとして、その役割をさらに強化します。第1回には12カ国から28のギャラリーと59名のデザイナーが参加し、ミラノサローネの中心に、産業生産とは異なるスケールのデザインを持ち込む可能性を示しました。「サローネ・ラリタス」が目指すのは、特別な生産物とプロフェッショナルなプロジェクト市場をつなぐことです。建築家、インテリアデザイナー、デベロッパー、ホスピタリティ事業者は、空間にアイデンティティ、独自性、固有の質を与えるオブジェクトを、ますます求めるようになっています。そこにあるのは、唯一性とプロジェクト、マテリアル・カルチャーとB2B市場の接点です。Annalisa Rosso(アンナリーザ・ロッソ/ミラノサローネ編集ディレクター、文化アドバイザー)がキュレーションを担当し、Formafantasma(フォルマファンタズマ)がエキシビションデザインを手がける第2回の参加者として、まず発表されたのがIndia Mahdavi(インディア・マダヴィ)です。建築家、デザイナー、舞台美術家として、マダヴィは20年以上にわたり、建築、インテリア、家具、オブジェクト、インスタレーションを横断して活動してきました。また、デザイン実践と並行して、独立した制作・研究活動も展開しています。2020年にパリで開設したProject Roomは、唯一無二の作品、限定版、職人とのコラボレーション、デザインと応用芸術の交差を探求する、自由な表現のための場として誕生しました。オブジェクトと空間、クラフツマンシップと現代性、作家性のあるデザインと生産、異なる文化や地域を自在に行き来するその活動は、規模だけでなく、現代のインテリアデザインにおけるコレクタブル・デザインの役割そのものを拡張しようとする「サローネ・ラリタス」にとって象徴的な存在となります。


建築家・デザイナーのインディア・マダヴィは次のようにコメントしています。「初めて、見本市に参加することに完全に心地よさを感じています。Salone Raritasには、独立したクリエイティブの声が集まり、標準化よりも唯一性、クラフツマンシップ、個人的な表現が重視されています。ここでは、アート、クラフト、機能性のバランスのなかで、デザインがそれ自身のルールに従って存在できます。私の仕事が自然に居場所を見つけられる場所だと感じています」photo: India_Mahdavi_©Matteo Verzini


SaloneSatellite 若き才能を、産業の未来へ 2027年の戦略においても、「SaloneSatellite(サローネサテリテ)」は重要な位置を占めます。Marva Griffin Wilshire(マルヴァ・グリフィン・ウィルシャー)が1998年に創設し、キュレーションを続けてきたこのプロジェクトは、35歳以下のデザイナーと企業・生産業界をつなぐ架け橋として機能してきました。その「才能と産業をつなぐ」役割は、現在では「サローネサテリテ・パーマネントコレクション」にも受け継がれています。同コレクションには415点の作品が収蔵されています。そのうち55点が、「1998–2026 サローネサテリテ・パーマネントコレクション展」としてジャカルタへ渡ります。9月18日から10月18日まで開催されるインドネシア・デザインウィークの一環として展示されるもので、2024年の香港、2025年の大阪・関西万博イタリア館に続く展開となります。これは単なる回顧展ではありません。プロトタイプから製品へと発展した作品、デザイナーと企業の出会いから生まれたコラボレーション、そして美術館や国際的なデザインシーンへと進んだプロジェクトを記録する、生きたアーカイブです。photo: Marva Griffin Wilshire_Salone del Mobile.Milano_©Thomas Lohr

ミラノの前に、世界とシンクロする

ワールドツアーが描く、これからのデザイン市場


「ワールドツアー」は、同じ戦略を国際的な舞台へと広げる取り組みであり、明確にビジネスを目的とした活動です。市場が開かれ、変化し、あるいは複雑化している場所へミラノサローネ自身が赴き、企業の市場開拓とプレゼンス強化を支援します。そこでは、ミラノサローネが培ってきたブランド力、ネットワーク、つながる力、そして各地域への知見が活用されます。単なる都市巡回ではありません。「ワールドツアー」が描くのは、未来に向けた優先市場の地図です。ヨーロッパでは、ロンドン、パリ、マドリード、ハンブルクなど、成熟し、デザイン活動が活発な市場を中心に展開します。競争が激しく洗練された環境において、関係性とポジショニングをさらに強化することが狙いです。アジアでは、シンガポール、ソウル、上海、香港、ニューデリー、バンガロールなどを舞台に、二つの方向から活動を進めます。ひとつは主要な国際ハブにおける存在感を強化すること。そしてもうひとつは、流通、不動産、プロジェクト市場の構造がそれぞれ大きく異なる、急速に変化する市場への企業の進出を支援することです。米国とカナダも、需要規模の大きさに加え、デザインやコントラクトの高度なセグメントにおいて新たな機会を生み出す力を持つ重要市場であり続けます。一方、リヤド、ラゴス、ケープタウン、メキシコシティでは、新たな投資、都市変革、プロフェッショナル・コミュニティの成長によって、これから発展していく可能性を秘めた市場との対話を進めます。

 デザイン、アート、コレクションを横断するこの構想の一環として、Art Basel(アートバーゼル)とのパートナーシップも展開されます。マイアミ・ビーチと香港という国際的なアートカレンダーの重要な2つのタイミングにミラノサローネの存在感を高め、デザイン、アート、コレクション、プロジェクトをつなぐとともに、文化的・専門的価値の高いネットワークへとミラノサローネを開いていきます。「ワールドツアー」はイタリア大使館貿易促進部( ICE)の支援を受け、各国ではイタリア外務・国際協力省の外交・領事ネットワークおよびイタリア文化会館とも連携します。この協力により、各都市での活動を地域の文脈に深く根付かせ、政府機関、企業、プロフェッショナル・コミュニティとの対話を強化していきます。こうして「ワールドツアー」は、グローバルな対話からビジネスの成長を生み出すプラットフォームとなります。市場ごとに目的と内容は異なります。しかし、その使命は一貫しています。イタリア企業の国際化を支援し、世界各地で築いた関係性、知識、新たなビジネス機会をミラノへと還元することです。
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