ABITO
企画:パロンバ・セラフィーニ・アソチャーティ
主催:イタリア外務・国際協力省

ミラノサローネ国際家具見本市 / Salone del Mobile.Milano において、プロジェクトは「時代を読み解く手段」としての側面も持っています。そのような文脈の中に位置づけられるのが、本展「ABITO」です。本展はイタリア外務・国際協力省(Ministero degli Affari Esteri e della Cooperazione Internazionale) によって推進され、パロンバ・セラフィーニ・アソチャーティ(Palomba Serafini Associati)がキュレーションを手がけています。ファッションとデザインを結びつけ、オブジェクトと衣服を通して、社会の変化と、それに伴う暮らし方や住まい方の変容を描き出します。

ミラノサローネ国際家具見本市(以下、ミラノサローネ)への参加は、すでにイタリア外務省(ファルネジーナ/Farnesina)とミラノサローネの間で進められてきた対話の延長線上にあります。この取り組みは国境を越えた視点を持ち、本プラットフォームをイタリアのデザイン文化を発信する拠点として位置づけています。この観点から、本展はミラノの展示空間にとどまるものではなく、むしろひとつの「旅の始まり」として構想されています。すなわち、イタリアの大使館、領事館、文化会館(イタリア文化会館/Istituti Italiani di Cultura)といった外交・文化ネットワークを巡りながら、イタリアンデザインの価値、形、所作、そしてビジョンを世界へと届けていきます。

タイトル「ABITO」には、すでに繊細な二重性が内包されています。それは「身にまとう衣服」であると同時に、「世界の中でどのように生きるか(住まうか)」という意味を持っています。この両義性から生まれる本展は、20世紀から現代に至るまでを横断し、身体と空間という二つの「語りの表面」を軸に展開されます。中心となるのは女性の役割の変遷です。衣服の変化を通して、より深い社会的変化—すなわち、移動の自由、公共空間への進出、新たな立ち位置の獲得—が可視化されます。同時に、オブジェクトや住空間もまた変化し、新たな所作や自由、生活様式に応じて更新されていきます。

Abito
Salone del Mobile.Milano 2026

Moda Laura Aponte 1967
Design Up, Gaetano Pesce, B&B Italia, 1969
Photo Roberto Palomba ©Palomba Serafini e Associati

展示は時代ごとに構成され、衣服とデザインオブジェクトのあいだに継続的な対話が生まれています。衣服はクイント・ティナレッリ・コレクション(Collezione Quinto Tinarelli)から選ばれ、1世紀以上にわたる歴史の痕跡を具体的に伝えます。一方で、現在も生産され続けているメード・イン・イタリーの家具やオブジェクトは、デザインが時代を超えて持続しうる力を示しています。これらを結びつけるように配置された写真イメージの連なりが視覚的背景を形成し、異なる時代の移ろいをより鮮明に浮かび上がらせています。

キュレーターであるルドヴィカ・セラフィーニ(Ludovica Serafini)とロベルト・パロンバ(Roberto Palomba)は、次のように述べています。
「現在も生産されているメード・イン・イタリーのデザインオブジェクトは、イタリアンデザインの進化の軌跡を示しています。一方、衣服はデザインとは異なり、ファッションの季節性に従います。だからこそ、展示される衣服は特定の歴史的・文化的瞬間を示す貴重な証言となるのです。これらの対象に宿る集合的記憶を失わないための試みであり、それらはイタリアの文化と創造性の重要な表現であり続けます。」

この対比からは、豊かな緊張関係が浮かび上がります。一方には持続するデザインがあり、他方には儚さを本質とするファッションがあります。そしてまさにこの隔たりの中にこそ、本展の意味が見出されます。それぞれの衣服は特定の時代を生きた痕跡として息づき、各オブジェクトは時間を超えて存在し続けるデザインの可能性を示しています。来場者に提示されるのは単なる形態の連なりではなく、イタリア文化の変容そのものを体感するための経験なのです。

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