ミラノサローネ国際家具見本市 / Salone del Mobile.Milano(以下、ミラノサローネ)の文化プログラムの一環として開催される「Drafting Futures. Conversations about Next Perspectives(未来を描く – 次なる展望についての対話)」は、現代の変化を読み解くために、プロジェクトを批評的なツールとして捉える対話のプラットフォームとして位置づけられています。サローネのエディトリアル・ディレクター兼カルチュラル・アドバイザーであるアンナリーザ・ロッソがキュレーションを手がけ、建築・デザイン・リサーチの分野から国際的な登壇者を迎え、多様な実践や文脈、視点が交差する開かれた対話を生み出します。
プログラムは、フォルマファンタズマによる「アリーナ・ドラフティング・フューチャーズ」を会場とし、地理・分野・言語を横断しながら展開されます。ここでは異なる領域が単に並列されるのではなく、相互に絡み合い、既存のモデルを問い直し、新たな視座を切り拓く思考の生成空間として機能します。

Editorial Director & Cultural Events Advisor, Salone del Mobile.Milano
Salone del Mobile.Milano 2026

Exhibition design Salone Raritas, Salone del Mobile.Milano 2026 @Gregorio Gonella
4月23日は、トシン・オシノウォ (Tosin Oshinowo) によるマスタークラスからスタートします。Architecture Hunterの創設者アマンダ・ファーバー (Amanda Ferber) との対話形式で行われます。ナイジェリア出身の建築家・デザイナーであるオシノウォは、限られた資源環境での実践を出発点に、プロジェクトの新たな思考方法を提示します。本講演では、アフリカの都市計画や21世紀の気候・文化条件に焦点を当て、「豊かさ」を前提とした従来のモデルを問い直し、気候・文化・現実の条件を踏まえた、より意識的な設計の必要性を提起します。そこでは、文脈に根ざした、より実践的で注意深い建築のあり方が中心に据えられます。
同日午後には、インテーザ・サンパオロによるラウンドテーブル「イタリアの家具とデザイン ― 国際的競争力を維持するための金融の役割」が開催されます。本セッションでは、製造システムと金融の関係に着目し、イタリアのデザインがいかに国際競争力を強化し、イノベーションを支えていくかが議論されます。
4月24日には、Al Bordeの共同創設者デイヴィッド・バラガン (David Barragán) によるマスタークラスが行われ、ジャーナリストでデザイン批評家のマルセラ・フィッビアーニ (Marcela Fibbiani) との対話が展開されます。エクアドルをはじめとする事例を通して、地域やコミュニティに根ざした設計アプローチが紹介され、土・竹・木といったローカル素材や伝統的な建築技術の価値が再評価されます。建築は個人の創作ではなく、共同的なプロセスとして捉えられ、環境課題に対しても主流とは異なる代替的モデルを提示します。
同日には、コレクティブルデザインをテーマとしたラウンドテーブルも開催されます。ここでは、アート・デザイン・リサーチの間に位置するオブジェクトをめぐり、制作・流通・享受の新たなあり方について議論が広げられます。
今年はさらに、物語的・パフォーマティブな形式も取り入れられています。4月25日には、作家でラジオパーソナリティのマッテオ・カッチャ (Matteo Caccia) によるモノローグ「家―場所―感情」が上演されます。住まいの変遷を時間軸でたどりながら、住宅空間の変化を個人的かつ普遍的な体験として描き出します。住まいは社会や文化の変化に応じて姿を変えつつも、その象徴的価値を保ち続ける存在として浮かび上がります。

Architect and Curator
@Stephen Tayo

From the left: Esteban Benavides, Maríaluisa Borja, David Barragán, Pascual Gangotena
©JAG Studio RGB
プログラム
4月23日(木)
マスタークラス
11:00(英語)
トシン・オシノウォ(Oshinowo Studio)との対話
モデレーター:アマンダ・ファーバー(Architecture Hunter 創設者・CEO)
ラウンドテーブル
14:30(イタリア語)
「イタリアの家具とデザイン:国際的競争力を維持するための金融の役割」
主催:インテーザ・サンパオロ
登壇者:
アンナ・ロッショ(インテーザ・サンパオロ 地域銀行部門 企業営業・マーケティング責任者)
ステファニア・トレンティ(同 リサーチ部門 産業・地域経済研究責任者)
ラウンドテーブル
16:30(英語)
「Two Speeds of Design. Between Scale and Singularity」
モデレーター:マリア・クリスティーナ・ディデーロ(インディペンデント・デザインキュレーター/著者)
4月24日(金)
マスタークラス
11:00(英語)
デイヴィッド・バラガン(Al Borde)との対話
モデレーター:マルセラ・フィッビアーニ(デザインジャーナリスト/90+10)
ラウンドテーブル
16:00(英語)
「Raritas. Bringing Craft, Special Editions and Antiques to Salone del Mobile」
モデレーター:TF Chan(Collect Art Fair ディレクター)
4月25日(土)
11:00(イタリア語)
「家 ― 場所 ― 感情」
パフォーマンス:マッテオ・カッチャ(作家・ストーリーテラー)

